なんでも良しとしとくれよ。

そういうことです。

犬の記録 1

9月22日(木)

飲まず食わずになり、よたよたと歩くルナを抱っこして、母と病院へ。チックのように頭がヒクヒク動く。診察台の上で一応立てていた。血液検査と、念のため子宮のエコーをして、子宮はなんでもなかった。その場でわかる程度の血液検査の結果を聞くと、血小板が足りなすぎるとのこと。おそらく血栓ができ、それが頭に回ってしまい痙攣のような症状が出ているのかもしれないと。皮下点滴をして、スポイトで与える流動食を貰い、万が一、痙攣が起きた時に対応できる座薬を2錠お守り代わりに貰った。「今日明日という感じではないと思いますが、覚悟はしたほうがいいかなと思います」と先生に言われた。

 

9月23日(金)

私は仕事。ルナは朝ちゃんとおしっこをして、バナナを少しむしゃむしゃと食べたらしい。母は休みで、駅まで私を送ってくれた。母が帰宅してルナの様子を見ると和室ですやすや眠っており、台所で茶碗を洗い、しばらくして和室へルナを見に行った時には硬直し痙攣していたらしい。痙攣はいつ始まったか分からないので、急いでお守り代わりに貰った座薬を入れる。20分経っても治らず、もう1錠入れながら診てもらえる病院を片っ端から探した。祝日、しかも午前の診察が終わった頃の時間でどの病院も繋がらず、唯一電話がつながり「すぐ来てください」と言ってくれたのが、家から15kmくらい離れた病院だった。車にルナを乗せて、死ぬんじゃないかというスピードで国道をすっ飛ばして行くと、院長先生が駐車場にいてくれたらしい。着く頃には痙攣は少し治まっており、麻酔をして落ち着かせてくれ、また痙攣が起きた時の為に座薬をもらったそう。かかりつけの病院ともしっかり連絡を取ってくれて安心したと言っていた。その話を帰りの送迎の車の中で聞き、ぼろぼろと泣きながらリビングに入ったら、ルナがソファで横たわっていた。目に覇気がなく、昨日まで歩いていたのに、自力で起きることすらもう出来なかった。明日の仕事を休みにした。なぜだろう、なんとなく、先がもう短いと感じていた。代わりのきく仕事と、ルナといる時間は、天秤にかけるまでもなかった。急いで姉と横浜に住む弟にLINEをした。姉は明日の夜、弟は明日の夕方くらいに帰ると言ってくれた。電気を薄暗くして、ルナはソファの上、母は隣に座り、私は床に座ってルナの手を握ったまま、3時くらいまでずっと起きて色んな話をした。父が起きてきて、母と交代で起きていたけど、スマホをじっと眺めているばかりで頼りにはならないと察し、ずっとルナを見つめていた。大きな声で鳴いたり前足をたまに動かすルナを撫でたり、オムツから漏れ出てくる便を拭いたり、たまに寝返りを打たせたり、声をかけ続けた。痙攣の前触れを知らなかったのもあり、私が寝こけている間にもし死んでしまったらと思うと怖くて仕方がなく、眠れなかった。

痙攣中は手足が真っ直ぐになり硬直した状態で細かくブルブルと震える。意識がないので不用意に近付くと噛みつかれたりすることがあるらしい。私は痙攣に気付きたくて、噛まれてもかまわないので手に触れたまま眠っていたけれど、人にはすすめられません。念のため。

 

9月24日(土)

台風の雨の中、父と母と私でルナのかかりつけ医へ行き、久しぶりに院長先生が見てくれた。父は車から降りもしなかった。血液検査の結果を聞く。用紙を見たら、数値が悪すぎて引いた。医療に詳しくないので、こんなに酷い結果でよく生きていられるなと不思議だった。クッシング症候群と診断を受けて半年、薬だけで辛さを和らげていたけど、内臓は限界に等しかったのだと思う。思っていた通り、目はもうほぼ見えておらず耳もそこまで聞こえていないようだった。入院して血管に点滴してみるかと提案されたけれど、姉と弟が帰ってくるので断り、皮下点滴をして、明日の朝くらいまでにおしっこが出るかどうかを見てほしいとのことだった。おそるおそる、後どのくらい生きられるかということをやんわりと聞くと、「おしっこが出なかったら、3日間くらいが限界だと思います」と言われた。母は、あと1週間くらいは生きられると思っていたらしい。

帰宅して、またソファに寝かせる。夕方、弟が来て、近所の祖母と従兄弟も来て、みんなで愛でる。みんなが見てくれるうちに私はお風呂に入り、出たら痙攣を起こしたところだと言われた。ルナをチラチラ見ながら食事をとる。間隔が短くなり、1時間半に1回は痙攣を起こすようになっていると気づいたので、痙攣が起きた時に座薬を入れた。薬が効いていくと脱力して落ち着き、眠っている様子だった。その時姉が帰宅。少し泣いていた。それでも姉がいると家は明るくなり、わいわいと色んな話をしていたらその声が届いている様子で、ルナも鳴いたり、前足でなんとか起きあがろうとしたりしていた。みんなに会えて嬉しいという気持ちが出ていて、自分も一緒に喋っているように鳴いていた気もする。私が首を固定し、弟がスポイトで餌をあげたら、なんとか上手に、結構飲んでくれた。誤嚥が怖くて昨日はおそるおそるだったのが、みんながいてくれてなんとかなった。「月曜の夜にまたくるよ」と言い姉は帰った。電源がないからと弟は2階ではなく、リビングで寝ることに。私はまたリビングの床に座りソファにもたれかかってルナに触れていたけれど、体力の限界を感じていた。テーブルを寄せ、弟の隣にルナのベッドを置いて、そこにルナを寝かせた。ルナを挟むように私も横になって、痙攣に気づけるようにルナに触れながらうとうととした。夜中に母が起きてきてくれたので、数時間仮眠をとった。

 

続きはまた時間ある時に書く、なるべく早く、忘れたくないから。