なんでも良しとしとくれよ。

そういうことです。

星の砂

久しぶりに夢を見た。

 

私は懐中時計を持って海に潜っている。時計に表示される数字はどうやら時間ではなく、18から始まり40で止まってしまった。薄い水色だった水は花浅葱に染まっていて、私は40mの深さにいるのだと気付く。ただ、あたりを見回しても生き物がいない。足元を見て、自分が裸足であること、軽装であることに気付いても、気にしなかった。

私は泳げないので、しばらくじっと、たゆたっていた。すると遠くの方にゆらゆらと陰が見え、もしかして人間かなと思い、私なりに何となく手足を動かして近づいてみる。人間だった。髪は短く、体の形からして男性だった。私と違いウエットスーツを着てフィンをつけてボンベを背負っている。彼はこちらを一瞥してそのままスイっと泳いで行ってしまった。

どこへ行くのか気になってついて行った。私は泳ぐのが遅く、途中で見失いそうになりながら、必死だった。彼がぽつんと立っているのが見え、せっせと近付くと、そこにあったのは化石だった。おそらく、シーラカンスの化石。彼はうっとりと眺め触っていた。

私が触って良いものなのかと思いじっとしていたら、目線で彼に促される。化石のお腹のあたりを撫でたら、突然口から泡が出た。ガボガボと私は息を吐き、今まで息をしていなかったのだと気付く。彼は落ち着いていて、自分の持つ空気を私に吸わせようとしてくれる。でも、それで解決はしないようだった。

急いで地上に戻ろうとするとスカートの裾をくいっと引っ張られたので、手に持っていた時計を渡そうとすると、時計は星の砂に変わっていた。小さな瓶に詰まった星の砂を彼に渡して帰った。もう少しで海中から顔を出せるという時に、あまりの苦しさに飛び起きた。

 

声も出さずに飛び起きたのは久しぶりだった。最近ストレスなのか、起きていても食いしばりがひどく、寝る時にマウスピースをつけても、寝ながら外して投げつけてしまっている。案の定マウスピースは床に落ちていて、拾ってケースにしまい、二度寝した。

梅の花を見る夢を見た。一緒に花を見ている人の顔は見れなかったけれど、一人じゃない事に少しだけ救われた。